お笑い芸人 マヂカルラブリー

野田クリスタル

とーりまかし研究冊子の記事はこちらから

思いつきが全て仕事になる 「種族: 芸人」のクリエイター

笑いを作り、ゲームを作るのは、「そういう人」だから。 天性の「芸人」の言葉に、「仕事」とは何か、モノ作りとは何かを考えさせられる。

略歴

1986年神奈川県出身。15歳で芸人として活動を始め、2007年にお笑いコンビ「マヂカルラブリー」を結成。2020年にはR-1ぐらんぷり、M-1グランプリで優勝。「スーパー野田ゲーWO R L D」(Nintendo Switch)などゲームクリエイターとしての作品も

「ゼロから始めたゲーム作りも含め 自分の行為は全部『お笑い』。 勉強不足だからこそ前向きに 挑戦できることもあります」

何の知識もないところからゲームを完成させるということ

賞レースの優勝経験も持つ芸人でありながら、今や「ゲームを作る人」としても知られる野田クリスタル氏。初めてゲームを作ったのは、お笑いライブの「一回もやったことのない特技を披露する」という企画のためだった。
「制作期間は一週間くらい。文字しか出ないゲームで、『RPG』と言ってるだけの、ほぼホームページでした(笑)」
それが今も続いているのは、パズルを解くように考えながらコツコツ作る作業が意外と性に合っていたから、そして個人制作のゲームにロマンを感じるからだ。
「大手のゲームメーカーは大きな投資もするから、売れる理由が説明できないと作れないですけど、個人はそうではないですよね。今はゲームを作るアプリも進歩しているから、個人でも意外とすごいものが作れて、それを世界中の人が遊んでいるということもある。夢がありますよね」
何の知識もないところから作り始めたから、作るうちに壁にもぶち当たる。それでもとにかく「完成させることが大事」と考える。
「それこそゲームでは、敵と一生懸命戦っても倒さないと経験値が入らないじゃないですか。その前でやめちゃうのはもったいないですよね。僕がゲームを作るときはまずバーッとタスクを書き出すんですが、書けるってことはその時点で超えられるということ。そうではない、思いもかけないバグなどを超えるからレベルアップするんです。筋トレは前回できなかった最後の2回にこそ意味があるって言いますけど、それと同じです」
そんな様子をストイックという人もいるが、自分では全くそうは思っていない。
「目的があるから勉強するけど、基本は勉強したがらない、サボりたがる。勉強不足の結晶体みたいなもんです。そんなヤツより、何もなくても勉強して、その備えで壁を乗り超える人のほうがよっぽどストイックじゃないでしょうか」

芸人は「職業」ではなく、「そういう人」だということ

15のときからからお笑いをやっていて、芸人を「職業」だとは思っていない。では野田氏にとって芸人とは何なのか?と問うと「自分は『そういう人』ということ。芸人という『種族』なんです」と言う。
「ゲーム作りも含めて自分がやっている行為は全部お笑いだと思ってます。強いて本業は何かといえば『ネタをやること』で、逆に言えばテレビの仕事も副業なんですよね」
そして副業であっても仕事は仕事。テレビの仕事もゲーム作りも「芸人の仕事」だからやる。そう思えない仕事はしない。その境界線は「自分が何かを思いつくことでよくなるかどうか」にあると野田氏は考える。「仕事」とその他の境界をこんなふうに考える人は、実は少しずつ増えてきているのではないだろうか。

知識のない人の思いつきがもっと増えたっていい

「思いつき」で「おもしろい」が生まれる世界は豊かだ。最後に、そんな「思いつき」がもっと活かされるために、何が必要かを聞いてみた。
「『勝手にやったらよろしい!』じゃないですかね(笑)。だってあなたが損しようが失敗しようが、あなたが転ぶだけ。あとはそれに対して前向きかどうかで、転んだことを『経験値になった!次は勝てる!』って思う、前向きなバカが増えたらいいですよね」
足が止まってしまうのは「自分が思いつく程度のことは誰かがやってるだろうと思ってしまう」から。野田氏がそう思わずに何かを生み出せるのは「知識がないから」だ。
「ゲームで言えば、僕が好きなのは作ること、要はアウトプットで、インプットが少ないんですよね。知識がないからこんなに自信が持てるんです(笑)。でも、同じようなものをインプットのある人がすでに作っていたとしても、知識がない人間が作るとちゃんと別のものになるんですよ」
「カスカスの状態で出すアウトプット」をみんなもっと試みたほうがいい。同じようなものがあると後から分かれば「あ、やってましたか!」でいい。何かを始めるか迷ったとき、思い出してみたい言葉だ。

野田氏いわく「絶対世界初」のゲーム。制作にはクラウドファンディングも行われた

最新の「思いつき」が形に「スーパー野田ゲーMAKER」

「野田ゲー」として愛される野田クリスタル氏作のゲームとしては、Nintendo Switch 用ソフト「スーパー野田ゲーPARTY」「スーパー野田ゲーWORLD」がリリースされているが、最新作として2024年に発売予定なのが「スーパー野田ゲーMAKER」。「ゲームを作る意気込み」や「主人公の性格」など「野田AI」の質問に答えていくことで、ゲームが「作れたり作れなかったりする」(野田氏)というゲーム生成ゲームだ。

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