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伊勢市 産業観光部 観光企画課

初TABI in 伊勢

未来のリピーターを育むために。
若者の誘客・周遊消費促進プロジェクト

遷宮による記録的入込客数に惑わされず
20年先を見据えた施策の推進へ

 JRCでは2013年度末までの事業として「伊勢市観光振興基本計画」の策定を受託し、進めてきた。その過程で様々な課題が浮き彫りとなったが、20年後の伊勢神宮式年遷宮へ向けた伊勢のファンづくり、市外宿泊者が多い点などが重点課題であった。これを解決する施策の一つとして、2014年12月~2015年3月にかけて実施した「初TABI in 伊勢」について報告する。

 伊勢の入込客数は、20年ごとに執り行われる伊勢神宮の式年遷宮の周期に合わせて増減を繰り返している。第62回式年遷宮のメインイベントと言える遷御の儀は2013年10月に行われ、その年の伊勢神宮参拝客数は約1420万人に達した(「平成25年伊勢市観光統計」より)。これは過去最高の記録となったが、遷宮後に来訪者数が落ちていくことが懸念される。この減少を最小限に抑えながら、発展を続けることが今後のテーマとなる。

 また、「じゃらん宿泊旅行調査」では国内旅行者の半数以上を50歳以上が占め、若年層(20歳~34歳)の旅行離れが顕著であるとの調査結果が出ている。すでに減少傾向にある国内旅行市場の今後を考えると、若年層の需要喚起は必須である。そして、若い頃に訪れた地域にはリピートしやすいという調査結果もあり、20年後の式年遷宮の来訪者を考えても若いうちに伊勢へ訪れてもらうことは重要だ。こうした背景をふまえ、先般の式年遷宮による伊勢の高い認知度が薄れないうちに、18歳~24歳の若者にターゲットを絞り込んで誘客、地域周遊・消費を喚起する本事業「初TABI in 伊勢」を立ち上げた。

「マジ☆部」の手法でお得な旅を創出

 「初TABI in 伊勢」は初めて伊勢を訪れるきっかけになることを目指しており、JRCの若年層行動支援プラットフォーム「マジ☆部」アプリを活用。「マジ☆部」の実施例としては、19歳はスキーリフト無料とした「雪マジ!19」、20歳はJリーグ観戦無料とした「Jマジ!20」などがあり、お得感や限定感をフックに若者を動かし新たな需要を創出してきた。本事業でも「お得感、限定感、特別感」ある施策で、伊勢旅行のきっかけづくりを目指した。具体的には18歳〜24歳の「マジ☆部」会員を対象に、伊勢市内の施設で利用できる1000円相当のリクルートポイントや特典を用意。その他、名古屋~伊勢の往復バス無料キャンペーンや周遊促進のため二次交通(レンタカー、レンタサイクル、バス)の無料もしくは割引キャンペーンも各事業者と連携して展開した。「じゃらんnet」では伊勢の参画宿で使用できる最大1万円分のクーポンも配布。現地消費、交通、宿泊の多方面にわたるサービスを展開し、お得で満足感のある旅を創出した。

 サービスの提供に加え、実際に市内の周遊や消費が行われたかを可視化する意味合いにおいても「マジ☆部」アプリは有用である。リクルートポイントはアプリを経由してスマホ上に表示したQRコードを、参画店舗に無償貸与したPOSレジアプリ「Airレジ」搭載端末で読み取り、会計処理することを通じ利用できる仕組み。「Airレジ」で利用ポイントや売り上げが管理でき、どの施設でどれほど消費されたかを把握することができるのだ。

官民協働で事業を推進、協力体制を構築

 お得感を大切にした本事業では、キャンペーンや特典サービスの幅広い協力者の存在が欠かせないものであった。実際は市内の飲食店や土産店、交通機関をはじめ、約130もの事業者が参画し、官民協働で事業成功を目指して進むことができた。本事業は3月22日までのため本来のゴール目標とした、若者の誘客と周遊・消費促進に対する成果はまだ確定できていない。しかし今後も観光振興基本計画を推し進めるうえで、業種を横断したつながりを持つことができた今回の経験は貴重な成果の一つだ。

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