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コンテンツツーリズム全般を大規模調査!「じゃらん映像コンテンツ コンテンツツーリズム調査」調査報告書

じゃらんリサーチセンターでは、コンテンツツーリズム(聖地巡礼)を科学的に解明するため、質的調査・量的調査の両面からの調査を実施してまいりました。
この度、日本国内在住の約3万人に対してコンテンツツーリズムの実施有無を聴取し、さらに約1,500件のコンテンツツーリズムの実態を聴取したレポート
「じゃらん映像コンテンツ・コンテンツツーリズム調査」調査報告書が完成しました。

▼定量調査レポート「じゃらん映像コンテンツ・コンテンツツーリズム調査」はこちら
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2024/10/report_contentstourism.pdf

▼定性調査である、作り手や自治体に対する質的調査の結果はこちら
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2024/03/2024-X4_all.pdf
『とーりまかし研究年鑑2024』
「〜作り手・地域・ファン・ビジネス、全ての視点からコンテンツツーリズムを科学する〜 アニメ的な聖地巡礼をゼロから作る方法」


■コンテンツツーリズムの実施率と実施属性
属性を分けずに1年間のコンテンツツーリズム実施状況についてヒアリングをしますと、
トップは「日本の実写ドラマ(NHK大河ドラマ・連続テレビドラマ小説を除く)について、
9.8%の人が実施しているという回答になりました。
メディアではあまり取り上げられていない印象もありますが、聖地巡礼で最もよく行われているものはどうやら「ドラマ」のようです。


■コンテンツツーリズムと一般の旅行や購買との関連性
コンテンツツーリズム(聖地巡礼)の実施頻度と、
1年間の宿泊旅行頻度(聖地巡礼ではないものを含む)については相関がみられませんでした。
聖地巡礼回数と宿泊旅行回数には関連がないということです。
対して、グッズやサービスの購買には相関がみられ、ここから、
作品のグッズやサービスを購入するくらいコアなファンは、聖地巡礼をするということが分かります。
つまり、コンテンツツーリズム実施者は、単に旅行が好きというよりは、
作品に対する愛着が強いという側面の方が重要であろうことが分かります。


■コンテンツツーリズムの目的
コンテンツツーリズム(聖地巡礼)の目的について調査をしてみると、
「日本のテレビアニメ」においては「キャラクターや登場人物が魅力的だから」や
「いわゆる『聖地』として既に知られている場所を見たかったから」が重視されており、
キャラクターと聖地性が重要であることが伺えます。
対して「日本の実写ドラマ(NHK大河ドラマ・朝ドラ除く)」においては
「キャラクターや登場人物が作中で利用している場所や施設を見たり利用したかったから」が重視されており、
実際の場所でロケが行われていることに起因した要素が重要であることが分かります。
「NHK大河ドラマ」では「目的地が距離的に近いから」や
「その地域がもともと一般的な観光地として有名だから」が重視されており、
一般的な旅行に近しい要素を持っている可能性があります。


■人気作品ランキング
アンケートにおいて実際に訪問した作品件数をランキングにしました。
アンケート設計の都合上、国内の二次元系(アニメ系)と、それ以外に分けています。

国内の二次元系では、トップは「君の名は。」で「ゆるキャン△」がつづきました。
2016年放映の映画がトップであり、根強い人気を誇っていることが分かります。


国内二次元系以外のランキングでは、「どうする家康」がトップで、
「鎌倉殿の13人」「silent」が続きました。
ランキングには大河ドラマが数多く見られましたが、作品に偏りがあるようで、
大河ドラマだからといって必ずしも上位に来るわけではないことが分かりました。

 

したがって、公開時期やジャンルによって確実にこうであるといったようなことを
断言することはできず、作品そのものの定量的に調査がしにくい「面白さ」のようなものや、
「旅行に行ってみたくなる印象」などが複合的に影響を与えているようです。
※報告書には10位以下の全てのランキングが掲載されています



<担当研究員 五十嵐大悟からの一言>



今回の調査では世の中全体の聖地巡礼のデータをフラットに聴取することができました。
調査の結果からは、ある意味で「当たり前」のデータしか
見えてこないような側面があったようにも思えますが、
当たり前のデータが出ることはむしろ調査が適切にできた証ではないかとも思えます。
ただし、通説的に言われていたアニメ巡礼者は鉄道利用が多いというようなことについて、
定量的に正しいらしいことが見えてきたのは一つの成果だったと思われます。
まだ分析中ではありますが、上位の作品の旅行内容の詳細分析を行う事で、
作品間の相互比較も可能になる予定です。

当該分析ができれば、タイトル毎の傾向がわかるため、
質的な差異についてもより深堀りができる予定です。
また、前年度に実施した国内のコンテンツツーリズム関連事業者に対するヒアリング調査や、
来年度以降に実施したいと思っている、海外ファンの動向調査などと掛け合わせることにより、
「聖地巡礼」を総合的に科学できるようになればと思っています。
皆さまの地域でも、なにか課題に思っていることや、知りたいことがあれば、ぜひお問い合わせください!



上記調査結果を含めたレポートの全文は以下よりダウンロード可能です。
▼定量調査レポート「じゃらん映像コンテンツ・コンテンツツーリズム調査」はこちら
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2024/10/report_contentstourism.pdf

▼定性調査である、作り手や自治体に対する質的調査の結果はこちら
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2024/03/2024-X4_all.pdf
『とーりまかし研究年鑑2024』「〜作り手・地域・ファン・ビジネス、全ての視点からコンテンツツーリズムを科学する〜 アニメ的な聖地巡礼をゼロから作る方法」

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