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農林中央金庫ほか
民間・行政の多彩な組織が強力タッグを組んで
震災復興の途にある熊本・大分の誘客策をスタート
震災から2年、大手企業・行政等の賛同を得て
食農ツーリズムを通じた復興支援を
2016年4月に熊本・大分地域で発生した震災より間もなく2年。一度は大きく落ち込んだ宿泊者数も震災前の水準近くまで戻ってはいるが、いまだ復興の過程にある状況。しかし震災から時が経つにつれ世間の復興支援に対する関心は薄れている。今ここで再び、熊本・大分両県の復興を後押しするべく立ち上げたのが本事業である。
リクルートライフスタイル(JRC)は2016年3月に農林中央金庫(JAバンク)、株式会社ABC Cooking Studio、株式会社農協観光と異業種4社との包括的パートナーシップを締結し、食農ツーリズム等による地方創生に取り組んでいる。本事業でもその枠組みを活かし、食農ツーリズムをフックとした誘客策を展開することに。さらに今回は、復興支援に対する関心をいま一度盛りあげ、そして誘客策の波及効果を最大化するために、本事業の賛同者を増やすことにも注力。業種もさまざまな事業者に参画を募った結果、地元事業者に加えてJR九州、九州産交バス、NTTドコモといった名だたる企業各社と協働する体制を整えられた。
クーポン配布や多様なプロモーション展開で
宿泊キャンペーンをバックアップ
本事業の一連の誘客策は、震災から2年目の春となる2018年3月~5月に実施。食農グリーンツーリズムの題材は春に旬を迎える地域の名産品であり、体験型商品としての人気も高い「いちご(いちご狩り)」だ。そして各参画組織が、自身の強みを活かした誘客策を手掛ける。
JRCではじゃらんnetで構築した宿泊施設との関係性を活かし、熊本・大分の宿泊施設に春の宿泊プラン造成を呼びかけて宿泊キャンペーンを展開。あわせて、じゃらんnetを通じてプラン造成参画宿の予約をする際に利用できる割引クーポンを配布し、旅行者の予約アクションを高める。旅行者に対するプロモーションには『じゃらん』本誌と着地型観光パンフレット『ご当地じゃらん』を活用。宿泊キャンペーン情報や、いちご直売所やいちご狩り施設情報などの熊本・大分の特集記事を本誌3月1日発売号に掲載する。同記事を抜き刷りにした『ご当地じゃらん』は、熊本・大分の主要観光拠点で配布する。
各社が保有する経営資源を活かして
多方面にわたる誘客策を展開
協働各社が行う誘客策の一部を紹介する。本事業の記者会見実施に合わせ、ブイキューブロボティクスはドローン(無人航空機)によるイベントを開催。これは同社が推進するドローンによる輸送システムの実証実験を兼ねており、熊本県のいちご農園から温泉宿までドローンでいちごを直送する試みだ。NTTドコモはレストラン情報やクーポンなどを揃えた有料コンテンツ「dグルメ」を期間限定で使い放題とする協賛をじゃらんnet用に6000名分提供。この他、九州各地の足として活躍し、バスツアーの企画販売も行う九州産交バスは、同社初のいちご収穫体験付きバスツアーを造成。また、JR九州からは今回の誘客策に関する広告の列車中吊り広告枠提供と、大分産いちごおよび熊本産新品種「ゆうべに」使用のドーナツを阿蘇~大分(別府)間を走る観光列車「あそぼーい!」で車内販売する場の提供との協賛を得た。
本事業は3月~5月の実施期間終了を待ってからの成果報告となるが、これだけの賛同者が集って震災復興支援に取り組めたことは大きな財産といえる。そして、観光客の来訪により地域が潤い、地域の農業活性化にも寄与できる食農ツーリズムを活用した震災復興支援という枠組みを構築できたことは、グリーンツーリズムの可能性の大きさを改めて実感する経験となった。
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