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高付加価値旅行マーケットを紐解く! インバウンド研究&事例を解説するオンラインセミナー<ダイジェストレポート前編>

じゃらんリサーチセンター(JRC)では2022年5月12日、
高付加価値旅行市場をテーマにしたオンラインセミナーを開催いたしました。

来たるインバウンド回復期に向けて量から質への転換を目指し、地域の高付加価値化を実現させるには?
第一部では、JRCにてインバウンド研究を担当する研究員の松本百加里が発表、
第二部では、日本政府観光局(JNTO)の蔵持京治 理事による講演、
第三部では、JRCセンター長・沢登次彦を交えたパネルディスカッションを行いました。
前編では、第一部と第二部のダイジェストをご紹介します。

▼後編の記事はこちら
https://jrc.jalan.net/research/4107/

<前編>====================

■第一部:講演

「高付加価値旅行マーケットを紐解いて地域資源とマッチングするインバウンド研究」

/JRC研究員 松本百加里

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インバウンド回復期に向けて、地域の資源を高付加価値化し、消費単価が高い旅行者を取り込む施策が重要視されています。

世界の高付加価値旅行マーケットに対して、まだまだ高いポテンシャルを秘めている日本。
一方で現状の課題として、「どんなターゲットがいるか」「どのように地域資源を高付加価値化させるか」
「どのように情報を届けるか」はイメージしにくい状況です。

高付加価値旅行マーケットの商流構造とターゲット像を明らかにするとともに、
地域の魅力ある資源をマッチングした高付加価値コンテンツの造成方法について、地域で実施した事例も取り上げながら松本研究員が解説しました。

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【研究発表サマリ】

・「富裕層」は、ミドル富裕層/富裕層/ウルトラ富裕層などにわかれ、今回はミドル富裕層をメインとした調査。
旅行ニーズと訪日旅行スタイルで分類すると大きく6つのタイプに分かれる。

・高付加価値旅行マーケットで、欧米豪のロングホール旅行者を狙う場合、商流構造を理解することが大切。
旅行者は、海外旅行会社に相談しながらカスタムメイドでツアーを組むため、このツアー行程の中に地域情報を組み込んでもらう必要がある。

・そのためには、簡潔に「地域へ行く理由」が海外旅行会社に伝わるように、地域側の情報を整備することが有効。(秋田県の事例では、コンテンツ造成マニュアル/ライブラリーまで作成、すでに予約も獲得中)

・コンテンツ/ツアー造成をする際には、地域資源にマッチするターゲットを設定して、
早めに海外旅行会社の意見を取り入れながら、逆算してコンテンツ磨いて高付加価値化していくフローもポイントとなる。

【講演コンテンツ】

Ⅰ:to B 向け商流構造整理
└商流構造と情報フロー

Ⅱ:ターゲットタイプ分類
└訪日旅行ニーズ別タイプごとに、旅行会社が提案する旅程は変わる
└ミドル富裕層(旅行1回あたりの平均着地消費額100万円)のニーズ
 &訪日旅行スタイル別の分類6タイプ
└各タイプが関心を抱くサステナブルの分野は?

Ⅲ:地域資源とマッチングする事例
└秋田県のコンテンツ造成&PR事業で行ったフロー
(ターゲットの把握~コンテンツ/ツアー造成~販売プロモーションまで)
 …海外旅行会社の意見から逆算してコンテンツ/ツアー造成
 …旅行会社のツアー販売支援ツールとして、コンテンツの造成マニュアル/ライブラリーを作成
└秋田県のコンテンツ造成&PR事業の兆しと反応


▼講演資料はこちらからご覧いただけます
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2022/05/JRC20220512-.pdf

 

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■第二部:講演

「JNTOが進める高付加価値旅行市場への取組」

/日本政府観光局(JNTO) 理事 蔵持京治氏

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コロナ禍を経た旅行者の意識の変化などをふまえ、インバウンド回復に向けた取り組みを進めているJNTOより、蔵持理事に登壇いただきました。

地域ごとの資源を活かすターゲット設定にも活用したい、欧米豪5カ国を例にとった高付加価値旅行者のタイプ分類や特徴を解説。

また、高付加価値旅行市場に加え、地方への誘客策として期待が高まっているサステナブル・ツーリズムとアドベンチャートラベルにおけるJNTOとしてのアプローチについてもお話くださいました。

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【講演コンテンツ】

Ⅰ:欧米豪におけるラグジュアリー旅行の市場規模
└欧米豪5カ国の市場別の推計規模(全体消費額、対象人数、消費額単価)

Ⅱ:高付加価値旅行者層のニーズ
└4つのタイプ分類とそれぞれの特徴
└今後成長が見込まれる領域

Ⅲ:高付加価値旅行者層に向けた旅行商品例
└マスラグジュアリー層(消費額100万円以上/人)、ハイエンド層(同300万円以上/人)

Ⅳ:2022年度のJNTOの主な取組
└旅行消費額増に資する高付加価値旅行の推進
 …富裕旅行商談会を通じたネットワーキング強化
 …コンソーシアム等と連携したテーマ性のある高付加価値な旅行コンテンツの情報発信

└サステナブル・ツーリズムの推進
 …旅行者向けの情報発信を強化
 …商談会で海外の旅行業界向けに情報発信
 …セミナーを通じ、優良事例等を共有

└アドベンチャートラベルの推進
 …2023年「ATWS(※)2023 北海道」開催に向けて魅力発信を強化
 ※アドベンチャートラベル ワールドサミット


▼講演資料はこちらからご覧いただけます
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2022/05/JRC20220512-.pdf

▼後編の記事はこちら
https://jrc.jalan.net/research/4107/

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