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【リリース】インバウンド旅行者の主要周遊ルート調査2025、ゴールデンルートは市場で異なる、新たな兆しとして長野・静岡・茨城が初ランクイン
- 調査・データ分析
- インバウンド
- 誘客プロモーション
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インバウンド旅行者の主要周遊ルート調査をブログウォッチャーとの共同研究として実施。
市場別のゴールデンルートを探ることで、
地方誘客を促進するためのエリア・ルート戦略の策定の支援になることを目的としています。
▼調査報告書詳細はこちらから
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2025/04/report_inbound-route2025.pdf
調査方法・期間・対象市場
◎周遊ルート・訪問率:ブログウォッチャー調査「デジタル観光統計(訪日版)」
※インバウンドのデータ取得に関して:
スマートフォンアプリ利用者から個別に許諾を得て取得したGPS位置情報データを、
個人を特定できない形式に加工して集計しております。
◎空海港の出入国者数:出入国管理統計統計表(出入国在留管理庁調べ)
2024年:2024年1月1日(月)~ 2024年12月31日(火)に対して、
2023年:2023年1月1日(日)~ 2023年12月31日(日)を比較して
4市場(台湾・タイ・オーストラリア・アメリカ)で分析
<インバウンド旅行者の主要周遊ルート調査2025のトピックス>
ゴールデンルートは、インバウンド旅行者の市場によって異なるルートが存在
● 市場別の主要周遊ルート20位をマップにした概要図は下記。
● 三大都市圏以外の地方部を含むルートは、台湾は13本、タイは11本、
オーストラリアは10本、アメリカは6本となる。
2023年対比ではオーストラリアが1本増えているのみ、全国的な地方分散の傾向はほぼ見えなかった。
ただし、長野県、静岡県、茨城県が新たに20位にランクインしている。
【参考】
● 長野県(タイ):松本城や上高地の興味が高まり、東京・大阪からの延伸として
「中央道ルート」や「新宿発のバス路線」でアクセスするケースも増加。
● 静岡県(タイ):富士宮市側の滝や富士山本宮浅間大社への来訪が増加。
● 長野県(オーストラリア):スキー旅行需要が根強く、特に野沢温泉や白馬エリアへの訪問が拡大。温泉巡りも人気。
● 茨城県(アメリカ):つくばエクスプレス沿線にある研究機関や大学のアメリカ人が増えたことに伴い、
その友人や家族が東京観光とセットで茨城を訪れる「友人・親族訪問(VFR)」が増加傾向。
台湾全国主要周遊ルート20・順位変動ランキング5
全国主要周遊ルートランキングでは、1位「千葉県-東京都-神奈川県」、2位「千葉県-山梨県-東京都」、
3位「京都府-兵庫県-大阪府」となり、山梨県以外は三大都市圏のルートとなる。
2024年新たにランクインしたルートはない。変動ランキングでは、1位が「東京都-神奈川県-茨城県」となる。
台湾全国主要周遊ルート詳細マップ
台湾市場に対する全国主要周遊ルートランキング20に加えて、
都道府県別の訪問率、主要空海港の出入国者数を詳細な地図でビジュアライズ化。
担当研究員のコメント
2024年の4市場における地方分散の進展は限定的でしたが、一部地域では新たな動きが見られました。
例えば長野県では、東京から北陸を経て関西へ抜ける広域ルートの兆しがあり、
フリーパスや乗車券と組み合わせた情報提供が、地方訪問を促す有効な手段となりそうです。
また、オーストラリアのスキー需要や、タイ市場での山岳観光・温泉・神社といったテーマ型観光、
さらにアメリカ市場に見られるVFR(友人・親族訪問)需要なども、地方誘客を進める上での重要なヒントになります。
今後は、市場ごとの関心と地域の観光資源を的確に結び付けた、ターゲットを明確にした
ルート設計とプロモーションがより一層求められると考えられます。
地方が単なる「通過点」にならないためには、滞在型観光への転換や、
地域を「目的地」として再定義する発想が大切になるでしょう。
株式会社リクルート
じゃらんリサーチセンター 研究員
松本 百加里(まつもと ゆかり)
▼4市場の詳細ルートがわかる調査報告書はこちら
https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2025/04/report_inbound-route2025.pdf