研究員コラム未来を創ろう。

2014/12/03

研究員: 北嶋 緒里恵

温泉を、「ハコ」として考えてみた

●日本の温泉は「民のもの」、だから面白い

白濁してたり、塩味がしたり、ラムネみたいな炭酸成分が含まれていたり…「温泉」は地球がくれた宝物だな、とよく思う。世界中で紀元前から重宝されているという事実も面白い。

昔、世界史の教科書でみた「カラカラ浴場」や、ドイツの「バーデンバーデン」…。最近では「テルマエ・ロマエ」でイメージも湧きやすくなったが、ヨーロッパの温泉は療養施設として発展した場所が多い。なんとなくのイメージで「ヨーロッパの温泉って、水着でもOKで、大きなプールみたいで、開放的なリゾートっぽい」と想像されるが、実は歴史をたどると、国や民族の争いの最中に傷ついた兵士を療養させて、兵力保持する国策的な役割が温泉療養施設にはあったそう、だから国営が多いらしい。

一方、日本では、宿で自家源泉を贅沢に掛け流しで保有していたり、町の単位でも複数の温泉施設をもっていることが特徴的。日本の温泉は、民(たみ)のもの。イメージとは違って、むしろ日本の方がリゾートや町人の社交場的な意味合いは強かったと言えるのかもしれない。

 

●「ハコ」が豊富な日本だからできる温泉の発展

日本の温泉文化は、これからどんな進化を遂げていくのかな、楽しみにしながら、まずは我々も進化を後押ししてみようと、2014年11月、実験的な温泉体験イベントを企画した。

イベント名は「お湯フェス」。温泉に浸かりながら音楽のフェスを体験する企画だ。現在、大分県と協同で実施中の22歳限定で大分県の参画温泉入浴施設102か所が無料になる「お湯マジ!22 inおんせん県おおいた」(3月31日まで)のオープニングイベントとして実施した。

141117oyufes__22_127

別府北浜エリアの海沿いの絶景露天風呂に浸かりながら、水着姿の若者たちは、タオルではなく温泉手ぬぐいを、音楽に合わせて振り回し、熱いお湯フェス体験を共有した(出演は大分県出身の芸人・ダイノジの大地さん率いる「豊満乃風」や「2700」等。豊満乃風にはオリジナルお湯マジソングを提供していただいた!曲は後日WEBで公開予定)

Gattai_4

温泉は、服も脱ぎ、肩書や心も開放できる場。男湯女湯に分かれて静かにリラックスする昔ながらの楽しみ方ももちろん最高だが、もっとこの空間、この開放感を、わいわい男女も一緒に楽しめる方法があるのでは?という中で出てきたアイデアがこの企画だった。

ちなみに最近イギリスでは、水着を着用し数名のグループ単位でバスタブに入って仲間と映画をみるイベント「Hot Tub Cinema」というものもあるそう。

Gattai1_2

 

温泉、お風呂を開放感があり、リラックスできる『ハコ』と考えると、実はまだまだ活用の余地はありそう。例えば宿の貸切風呂を家族や仲間でわいわい楽しめるカラオケボックス化したり、露天風呂をバーベキュー併設にするアウトドア温泉。年末に、除夜の鐘に合せてお湯を掛け合う露天カウントダウンパーティとか。

日本の温泉は、いい意味でこじんまりしている施設も多いので、その特性も活かして、個々のハコをエンターテインメントに活用することは、今後可能性があるかもしれない。もし企画したい施設、地域の方がいたら、是非やってみませんか?

 

2_3

「お湯マジ!22 in おんせん県おおいた」サイト

http://www.jalan.net/doc/etc/oyumaji22/index.html

北嶋 緒里恵

若年層の温泉需要拡大を目指したプロジェクト「お湯マジ!22 in おんせん県おおいた」等を担当。2003年入社。旅行情報誌の編集デスクを経て、2009年からJRCへ配属。東北、関東、九州等の自治体との観光による地域活性のプランニング及びディレクションを担当。2014年4月より現職。