研究員コラム未来を創ろう。

2014/08/08

研究員: 稲垣 昌宏

旅行者は「お財布に優しい観光地」を求めてはいません

じゃらん宿泊旅行調査2014の結果が発表されました。 こちらは2013年度(2013年4月~2014年3月)の宿泊を伴う国内観光旅行についてのユーザー行動です。

http://jrc.jalan.net/jrc/files/research/jalasyuku_20140725.pdf

また、ほぼ同じ時期に夕方以降の外食(および中食) 市場調査の2013年度(2013年4月~2014年3月)の結果も 弊社より発表されました。

http://grc.hotpepper.jp/research/2014/07/20132013420143-896f.html

 

飲食領域のホットペッパーグルメリサーチセンターを 兼務している立場から、両調査結果を見て、ぜひ観光振興に 役立てていただきたいと感じたデータがありましたので、 この場でご紹介させていただきます。

じゃらん宿泊旅行調査2014では今回、主な滞在先エリアに 着いてから離れるまでの間に追加で支出した額(パックツアー代や 宿泊プラン代として、あらかじめ決まっていた以外の支出) について聴取しています。

主な支出項目で、「夕食」で2980円、「バーなどでお酒を飲む」で 4190円が一回あたりの単価となっています。 一見すると、「ふーん、そうなのか」と流してしまいそうな 数字なのですが、外食市場調査における外食単価と比較することで 大きな意味が出てきます。

外食市場調査では、主な繁華街ごとの夕方以降の1軒利用あたりの 単価を聞いていて、首都圏では最も単価の高い町は「六本木・ 青山一丁目」で4714円、次いで「銀座・有楽町・日比谷」が 4446円となっています。

また、関西圏では「四条(烏丸)・河原町(祇園四条)」(京都)が 3337円、東海圏では「栄・久屋大通」が3468円で圏域内でそれぞれ 最も単価の高い街となっています。

 

両調査を比較するときにじゃらん宿泊旅行調査では、夕食代と、飲酒代を それぞれ分けて聞いており、一方の外食市場調査では、食事もお酒も 含めた1軒あたりの単価を聞いている(飲酒を含まない場合もある)と いうことで、厳密に比較できるわけではないですが、旅行中の 夕食単価と飲酒単価を仮に合計すると7000円を超える額となります。

これは、外食におけるどんな高級繁華街での1軒あたりの単価をも 軽く上回っている数値となり、飲み代だけで見ても旅行中の単価 4190円を上回る繁華街は全国でも上記首都圏の「六本木・青山一丁目」と 「銀座・有楽町・日比谷」だけということになります。

 

さて、言いたいことは何かというと、いかに旅行中のお客さんが 「消費全開モード」にあるかという点です。全国津々浦々の 旅行先の飲酒代の平均が、日本を代表する繁華街の銀座並み!

とすれば、やることはひとつ。繁華街の外食店がお客さんに よりたくさん飲食してもらいたいと実施している、あの手この手を 観光地で行えば、「消費全開モード」だけに、より簡単に 消費額を増やせるのではないか、ということです。

旅館での追加ドリンクオーダーで、季節ごとのおすすめドリンクや 地元産のお酒などがちゃんとメニュー化されていますか?

部屋の冷蔵庫やふろ上がりの自動販売機に、ナショナルブランドの 飲料しか置いていないなんてことになっていませんか?

夕食後のアクティビティで締めに何かB級グルメなどを提供する 機会を設けていますか?

また、ラストオーダーを取るなど、注文機会を創出していますか?

 

じゃらん宿泊旅行調査2014からは、他に「昼食」で一回平均1480円、 「買い物」では、1回の旅行での大人ひとりあたりの平均額が5830円などの 単価が明らかになっています。ランチにほぼ1500円なんて、普通に 働いている日常ではあり得ない数字ですよね?

このように、旅行中は消費者にとっては日常とはまったく違う 「特別な」モードで過ごしている時間ということがいえると 思います。お客さんにとって「いい旅行」とは、財布の中がからっぽに なる旅行、「たくさんお金を使って、たくさんのいい思い出ができた」 というのが、理想の旅行ではないでしょうか。

 

旅行者は「お財布に優しい観光地」を求めてはいません。 幸せにお金を使わせてあげる観光地でありたいですね。

稲垣 昌宏

エイビーロード&エイビーロードnet編集長を経て、2006年にエイビーロード・リサーチ・センターを設立、初代センター長に就任。その後、じゃらんリサーチセンターを兼務し、国内旅行&インバウンド市場にも関わる。現在はホットペッパーグルメリサーチセンターを兼務し、食と観光の連携を研究テーマに活動中。2013 年4月より現職。