研究員コラム未来を創ろう。

2013/06/24

研究員: 三田 愛

地域づくりは一見遠回りなことだらけ。まずは「いい土」を創りましょう。

地域づくりは農業のようなもの。
いつもそう思っている。
「いい土」を創れば、本来持つ生命力を最大限発揮し、多くの「実」がなる。
でも、土づくりは一朝一夕にはいかない。いい土を創るのに10年かかるとも聞く。
カンフル剤的に化学肥料を使うと、一時的に実はなるが、それは継続せず、
逆に土を痩せさせてしまうこともある。

 

地域づくりも同様で「地域の土壌=関係性創り」を怠ると、
地域の本来もつ力が最大限発揮されず、大した「実(=事業、収益等)」はならない。
イベントやキャンペーン等、一時的に行っても、それが有機的に繋がっていないと、
すぐ元に戻ってしまう(だけでなく、地域の生命力を徐々に失わせていくことも多い)。

 

「自ら価値創造する、自走する地域づくり(地域変革・イノベーション支援)」の研究を始めて、早3年目。

その中で、個人の、チームの、組織の、地域の、様々な変容を目の当たりにしてきた。
人や地域が本来の価値・可能性に呼び覚まされ、輝いてく瞬間、
内からエネルギーが溢れ、繋がり、化学反応を起こしていく瞬間がたまらなく好きで、
この深くて、複雑なテーマに、どんどんのめりこんでいっている。

 

昨年行った研究に、熊本県上天草市役所観光おもてなし課と共に行った
「行政の変革コアチーム創り」がある。

 

1年前は、いわゆる“旧態依然”とした“縦割り”組織。
過去の踏襲が基本で自ら新事業を提案することは基本ない。
リスクを恐れ、マイナス思考(できない理由)から入りがち。
業務がタスクで分かれ、担当以外は問い合わせに答えられない。
遠慮があり、仕事上では本音で話すことも、ましてや企画の相談に乗り合うこともなかった。
観光協会からみると、「うちは行政の下請けのようだった」という関係性。
イベントなどの業務の実行部隊として、仕事が集中して多忙を極めていた。

 

それが、共に変革チーム創りに取り組んだ10か月後には、
抜群のチームワークを持ち、明るく活気に溢れ(毎日法被を着て仕事)、
自ら事業提案をするチームに変わった。

 

課の名称を商工観光課から「観光おもてなし課」に変更。
多くの新事業が生まれ、観光客は対前年20%アップ。
そして、「地域を主役に!」と、
地域の人の知恵を引き出す場づくり・ファシリテートの手法を学び、実践していっている。
イベントの主役は地域。と、「実行委員会方式」を導入、
行政は中心ではなくサポート、地域の力を引き出す側に回っている。
(10か月のプロジェクトを数分の映像にまとめました。

 

百聞は一見にしかず。是非ご覧ください。

http://youtu.be/x_9_mCT2bgc

 

私が何より感動したのは、「変革の輪が、どんどん広がっていっている・伝播していること」だ。
上天草(に関わらず、変革のうねりが起きている人・チーム・地域)は、
どこまでも変化をし続ける気がする。
そして、そのエンジンが止まらないような後方支援をするのが、私の役目だと思っている。

 

個人的に「“先生モデル”はやりたくない」と常に思っている。
一時期“先生”が来た時だけ、何かうまくいって、素晴らしいものができて、
帰ってしまうと元に戻ってしまった、という地域のことをよく耳にしたからだ。
それはコンサルタントが“先生”として入る場合も、研修の講師の場合もそう。
外の人が答えを持っているのではなく、
「答えは地域の人が持っている」(潜在的にでも)と信じているから。

 

地域づくりは農業、土づくりだ、と考えた時に、
短期的には結果は芳しくなくても、一見遠回りに見えても、
地域が自ら変革を起こせる「力」を身につけること、蓄えていくこと、
時間と共に、その力や関係性が(減るのではなく)倍増していくこと。
それこそが、いい土をつくり、地域が長くサステナブル(持続可能)に続くポイントだと思っている。

 

誰か、何かに負荷(知識、パワー、お金等)が偏り過ぎるのではなく、
無理なく「続く」仕組み。
燃え尽きるのでも、打ち消し合うのでもなく、
「パワーが、お互い内から溢れ出す」かんじ。

 

そのためには、地域を「生物」「生命体」として考えること。
機械論的にこうやるとうまくいく、というモデルを押し付ける、型を提供するのではなく、
地域の「創発」を促し、化学反応が起こる仕掛けや新しい風をいれてくこと。

 

そんな地域変革支援、後方支援・伴走の在り方をどんどん研究し、開発していきたい。

 

それと同時に、地域を変革するリーダー・チームを日本中にたくさん創っていきたい。
自分が直接地域に関わるモデルも最初は必要かもしれないけど、
立ち上がったらどんどん離れて、地域の自走をサポートする。
そして、より間接的な地域支援として、
各地の地域変革リーダー・チームが「学び成長し続けるコミュニティ・生態系」も、
創っていきたいと思っている。
そんな仲間が全国に100人、いや1000人いる状態を夢見つつ、、、走り続けます。

Horz_2(左)法被を着て仕事をするようになった観光課。チーム名「ハッピーズ」とポーズ決定の瞬間
(中・右)変革チームを創るための「チーム本領発揮研修」。チームの持つ潜在的な力を引き出していく。

 

Horz
観光おもてなし課が企画運営をした「未来みんなゴト会議(フューチャーセッション)」。
付き合いでなく、本当に上天草の未来を考えるために必要な人に声掛けをし、当日は大いに盛り上がった。
この日がきっかけで、地域主体の「海風マルシェ」が2か月後に開催された。

三田 愛

2001年4月リクルート入社後、人材総合サービス部、人事部、海外提携・事業開発プロジェクトリーダーを経て、2011年4月より現職。人材育成・組織変革を専門とし、対話やコミュニケーションの力によって地域に眠る力を引き出す「地域コ・クリエーション(共創)研究(コクリ!プロジェクト)」に取組む。自身が地域創発ファシリテーターを務め、垣根を超えた連携「みんなゴト」化と、事業創造による「地域イノベーション」を促進し、自走型の地域活性を実現。2014年度経済産業省「地域ストーリー作り研究会」委員。米国CTI認定プロフェッショナル・コーチ。
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