• 2015/12/28
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
  • Photo by KENICHI AIKAWA / TOYOAKI MASUDA

私とコクリ!(2) コクリ!には、仕事や人生とつながる「予感」が漂っている

コクリ!の場についてどのように感じているか、コクリ!の場をどう活用しているのかを語っていただきました。

山川知則 文祥堂 CSR事業室

コクリ!キャンプやコクリ!ラボと付き合う皆さんに、「私とコクリ!」について語っていただくコーナー。第2回は、文祥堂のやまやまさんこと、山川知則さんです。

コクリ!の出会いが、ビジネスにつながることが成果

コクリ!の場には、大きく分けて、その場のコミュニケーションに興味がある人と、そのコミュニケーションから生まれるビジネスに興味がある人がいると思うんですが、僕はどちらかといえば、ビジネスに興味があるタイプです。コミュニケーションを通してみんながその場でキラキラすることは大事だと思うけれど、それだけでは物足りない。コクリ!で生まれた種火がビジネスにつながって、はじめて成果だと考えます。ビジネスが世の中に与える影響は大きいから。

自分の仕事は、オフィスの内装設計施工の会社・文祥堂で、社会に良い変化を与える新たなビジネスを起こしていくこと。平たく言えば、新規事業担当者です。会社の100周年でもあった3年前、創業者が植林していたことをきっかけに、森林保全とビジネスの両立をテーマに事業をスタートしました。現在、間伐材家具ブランド「KINOWA」を立ち上げ、展開しています。今年からKINOWAの家具は、設計図をWeb上に公表して、誰でも作れる「オープンソースファニチャー」になる予定です。弊社だけでなく、同じ想いをもった会社と一緒に間伐材利用を進められるようにしたいと思っています。他にも、東京都内の幼稚園に、多摩の杉とヒノキを使った無垢材の家具をつくったり、日本の森林の現状を伝えるオリジナル絵本を納入したり、国産木材、間伐材というキーワードを軸に色々とチャレンジしています。コクリ!のおかげもあって、最近、さまざまなビジネスが本格的に軌道に乗ってきました。

「KINOWA」サイト画像

取り組みたいのは、どうすればうまくいくのかまったくわからないプロジェクトばかり。想定外が起こるような仕事の仕方をしないといけないなと思っています。KINOWAのデザインを、家具専門のデザイナーではなく幅広いプロジェクトを手がけているNOSIGNERの太刀川くんにお願いしたのも、オープンソースファニチャーに取り組んだのも、コクリ!のイベントによく参加しているのも、「想定外」を求めているからです。

良い意図をもつ人と、短時間で腹の底からつながれる

仕事で参加するコミュニティの多くは、直接自分の仕事に関係ある人たちが集まっていることが多く、コラボレーションはしやすいですが、小さく想定内にまとまりがちです。一方、コクリ!には「想定外」が溢れています。集まるのは普段の仕事で会わない人ばかりで、話す内容も普段の仕事と直接は関係のないこと。そうすると、普段使っている脳みそと違う部分が動き出します。毎回、どんな成果につながるのかはわからないのですが、コクリ!には、仕事や人生とつながる「予感」のようなものが、ず~っと漂っています。いつ役に立つかはわからない、ブリコラージュするための素材がたくさんあるといった感覚です。

なぜコクリ!にそんな可能性を感じるのかを自分なりに分析すると、「良い意図をもつ人と、短時間で腹の底からつながれる場」になっているからだと思います。愛さん(三田愛さん)が、いい人を集めているという安心感、そして、深い想いを持って緻密に設計された場、この二つが相乗効果を発揮しているのではないでしょうか。会員制スナック「スナック愛」と例えられることがありますが、僕は別な言い方をすると「温泉」だと思っています。暖かい湯の中で、裸で話をしている感じ。今後も、コクリ!の場は、僕の心の温泉であり続けてほしいと思います。

温泉で思い出しましたが、コクリ!で生まれたつながりの一つに、西粟倉村の大島さん(木工房ようび・大島正幸さん)、黒川温泉のゆうきさん(御客屋・北里有紀さん)とのつながりがあります。大島さんとは以前から知り合いだったのですが、2015年の第1回コクリ!キャンプで久々にお話しして、「新しい旅館の家具を創りたい」という話題で盛り上がりました。前にもコクリ!サイトでお話ししましたが、旅館の広縁に、地域の木材資源を使った椅子や家具を創りたいと思ったのです。

その後、今度は2015年5月の「コクリ!ラボ」の打ち上げの席で、ゆうきさんとゆっくり話す機会がありました。僕は、黒川温泉には以前に一度伺っていて、黒川の資源や文化を生かして何か仕事ができたら嬉しいなと思っていたので、大島さんと計画している「旅館の家具作り」の話をしてみました。すると、ゆうきさんが「おじいさんが植えた小国杉で、旅館の家具を作りたいとずっと思っていたんです」とおっしゃるのです。僕たちはその場で、御客屋の家具を作る話で意気投合。早速、大島さんと二人で、黒川温泉を訪ねることになりました。

「おじいさんの木」を3人で伐るところから、家具作りが始まった

木を伐るゆうきさん(上)と大島さん(中)、そして伐り終えた杉(下)。現在、これで家具づくりを進めている。

黒川温泉の初日は衝撃的なスタートでした。御客屋に着いたら、打ち合せからスタートすると思っていたのですが、ゆうきさんは挨拶をしてすぐに僕たちを山へと連れて行き、こう言いました。「この木を三人で伐りましょう。」なんと、ゆうきさんのおじいさんが植えた樹齢50~60年の立派な小国杉を三人で伐るところからこのプロジェクトはスタートしたのです。ゆうきさんと大島さんは経験者でしたが、自分は恥ずかしながら木を伐ったことはなく、死の危険を感じながら、へっぴり腰で伐採作業をしたのを強烈に覚えています。どうにか三人で二本の杉を伐り倒し、さらに以前、御客屋の近くに立っていて、台風で倒れてしまった「大杉さん」という御神木を使って、家具を作ることになりました。

木を伐った夜、僕らは家具を納入する予定の部屋に泊まり、地域のおいしい野菜や肉をいただき、すばらしい温泉に入りながら、一晩かけてどういった家具を作ればよいかを考えました。そこで生まれたのが、「従業員の皆さんにアンケートを取ろう」というアイデア。せっかくだから、御客屋の皆さんともコ・クリエーションしようということになりました。アンケートからは、「アットホームな旅館」「まるでおばあちゃんちのような宿」といった共通のイメージや、運用する上での具体的な要望など、本当にさまざまなヒントをいただくことができました。現在は、みなさんの想いを受けて、「地の力」というメインコンセプトを立て、大島さんが形にしているところです。温泉、景観、食べ物に加え、家具にもその土地の資源を使うことによって宿に一貫した力が流れるはずです。来年の夏には納品できる予定です。

コクリ!でやりたいことは、合氣道に似ている

今回の黒川のプロジェクトは本当に想定外の集大成でした。やはり、こういうことが起きる可能性がコクリ!にはあると改めて確信しました。お互いのリソースが最大化した感覚です。

自分がコクリ!の場でやりたいことは、習っている合氣道に似ているなと感じます。自分がしたいことを押しつけてもうまくいかないですし、相手のやりたいことばかりを優先してもうまくいきません。全体が活かされる形を探る時、自然なフォームに落ち着きます。この自然なフォームを探して自分は仕事や稽古をしているのだろうと思います。コクリ!はその方法論を確立しようとしているのではないでしょうか。なんだかよくわかりませんね。やっぱりコクリ!は言葉にするとよくわかりません。笑。

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