• 2016/08/08
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
  • Photo by KENICHI AIKAWA

第2回コクリ!キャンプの続き(2) 矢田さんの現場を覗く「出雲ツアー」を実施

第2回コクリ!キャンプのスピンアウト企画をご紹介します。

矢田さんの現場を覗く「出雲ツアー」を実施

2016年2月に行われた第2回コクリ!キャンプからは、いくつものスピンアウト企画が生まれています。その1つに、しゅーごさん(池本修悟さん)とてっちゃん(小笠原祐司さん)の「出雲ツアー」がありました。また、しゅーごさんは、2015年に半年ほどコクリ!プロジェクトのコアメンバーを務めており、出雲ツアー以外にも、コクリ!キャンプでのさまざまなつながりを活かしています。それらの活動について、詳しく伺いました。

矢田さんと知り合えたのがコクリ!キャンプの一番の収穫

2016年2月の第2回コクリ!キャンプに参加して一番良かったのは、矢田さん(矢田明子さん)と知り合えたことでした。矢田さんと一緒になったのは、キャンプ後半の「この指とまれ分科会」で、僕たちは「子供の貧困への包括的支援」について話し合うチームに参加しました。対話するなかで、チームメンバーの一人だったETIC.の宮城さん(宮城治男さん)が、「矢田さんは日本の宝だ」と絶賛されたんですが、僕もまったく同感でした。矢田さんの活動はそれほど魅力的で、その場でぜひ一度、現場を覗いてみたいと思ったのです。それで5月に、てっちゃん(小笠原祐司さん)と一緒に雲南・出雲に行くことを決めました。

しゅーごさん(池本修悟さん)

「出雲・雲南ツアー」で、たまたま開催されたおっちラボの「理事会」に参加

矢田さんを簡単にご紹介すると、3人のお子さんの子育てをしながら、雲南市内の公立病院で保健師の仕事をして、さらには「おっちラボ」の代表理事を務めるパワフルでチャーミングな女性です。おっちラボは、島根県雲南市長の肝いりで、雲南地域の未来を切り拓いていく人材を育成する「幸雲南塾」の卒業生たちが集うNPO法人で、「三日市ラボ」の運営などに携わっています。

矢田さん(矢田明子さん)

僕が特に興味を持ったのは、矢田さんが、ご自身の自宅の離れ(アネックス)を、日本に出稼ぎに来ている外国人の子どもたちに開放していることです。出稼ぎ家族の子どもたちは、親が働いている間、居場所がなくて困っていたのです。それで矢田さんは、彼らの居場所をつくったわけです。しかも、ただ離れを開放するだけじゃなく、その子どもたちにアネックスの「自治」を任せようとしているのです。矢田さんの家族が大蔵大臣を務め、子どもたちがそれぞれ「政党」を作って、集まってくる子どもたちにどの政党がよいかを選ばせた上で、定期的に「アネックス議会」を開いているのです。さらには、東京の建築士やデザイナーの方々が、毎月出雲に通って、その企画に関わっています。

僕とてっちゃんの「出雲・雲南ツアー」がどうだったかというと、たまたま開催されたおっちラボの「理事会」に参加させてもらい、矢田さんの仲間たちと話したりしながら、矢田さんたちの活動を詳しく紹介してもらいました。例えば、雲南市は現在、30の自治地区(地域自主組織)に分かれており、おっちラボが運営する「幸雲南塾」の卒業生が、そのうちの7つの地区で活躍しています。そのなかには、コミュニティナースという働き方をしている人もいて、外に出られない高齢者を見回るという仕組みを始めています。それから、一人で野球場の草むしりを始めてしまうほど、強烈なおせっかい屋だったお父さんのこと、そのお父さんが亡くなって看護師になろうと一念発起したことなど、矢田さんのストーリーを深く聞けたのが面白かったです。もちろんアネックスの開放と自治についても、詳しく伺いました。現在は、こちらから矢田さんに面白い人を紹介するなどして、交流を続けています。

「出雲・雲南ツアー」で、おっちラボの「理事会」に参加するしゅーごさんとてっちゃん

矢田さんの現場がコミュニティ・オーガナイジングのヒントになると思った

そもそも、僕がなぜそこまで矢田さんの活動に興味を持ったかといえば、今「コミュニティづくり」を研究しているからです。僕は数年前から、マーシャル・ガンツ博士が提唱する「コミュニティ・オーガナイジング」を学んでいます。コミュニティ・オーガナイジングとは、市民の力で自分たちの社会を変えていくための方法であり考え方で、価値観の近い仲間を見つけて、関係性と資源を交換しながら、一緒に問題解決していこうとする運動です。2014年からは、僕自身がコーチとなり、コミュニティ・オーガナイジングのワークショップを行っています。コミュニティ・オーガナイジングのメリットは「一体感」を醸成できるところ。僕はもともとNPO支援に長く関わっていて、NPO同士の連携をもっと進めたいという想いがあったのですが、コミュニティ・オーガナイジングを使えば、NPOの横のつながりを深めていけるのです。その効果を日々実感しています。さらに言えば、僕がコクリ!プロジェクトに関わっているのは、コミュニティ・オーガナイジングとコクリ!プロジェクトの考え方がよく似ているからで、コクリ!プロジェクトには、コミュニティ・オーガナイジングと同じように未来を変える力があると思っています。

地域などで、実際にコミュニティをオーガナイジングしていくときには、矢田さんのようにホスピタリティがあって、おせっかいで、コミュニケーションが上手で、巻き込み力のある方の存在が欠かせません。矢田さんの現場を覗くことは、コミュニティ・オーガナイジングのヒントになると思ったのです。

話は変わりますが、先日、同じくコクリ!キャンプで知り合った大宮くん(大宮透さん)の依頼で、2016年5月、小布施若者会議、四国若者会議、東北若者10000人会議など、全国各地の「若者会議」のリーダーたちを集めて、コミュニティ・オーガナイジングを使ったワークショップ合宿を行いました。大宮くんが始めた小布施若者会議が、全国の若者会議の原点ですから、これはいわば若者会議の総本山ミーティング。そのような場で、自分のスキルを発揮できたのは嬉しいことでした。そのなかには高校生が何人か参加していて、立派に議論についてきていたのには驚きました。

コクリ!プロジェクトはいきなり価値観でつながっていけるのがありがたい

そのほかにも、コクリ!の仲間たちと一緒に活動することが多く、例えば、じゅんさん(齋藤潤一さん)に、子どもの貧困に関する活動をしている「オルタナS」の副編集長を紹介してもらったり、菊ちゃん(菊野陽子さん)・かずさん(中村一浩さん)・Tedさん(長澤修さん)・てっちゃんなどで対話の場を設けたりしています。

僕自身は、今後もコミュニティ・オーガナイジングの技法を使って、一人ひとりの力を引き出していきたい、課題を抱えている個人を何とかしていきたいと思っています。コクリ!プロジェクトには価値観の近い人が多く、いきなり価値観でつながっていけるのがありがたい。コクリ!プロジェクトでのつながりを活かしながら、これからも草の根の変革運動を続けていきたいと思っています。

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