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東京都

平成26年度多言語メニュー作成支援ウェブサイトの構築

2020年東京五輪を前に、飲食店・外国人旅行客の
双方に役立つ飲食おもてなしツールを開発

日本観光の目的1位は「日本食」。
飲食現場での外国人対応が重点課題に

 訪日観光客数が多い上位6カ国の訪日観光経験者計600人に対する調査では、日本に来た観光目的は「日本食を楽しむ」が1位であった(「訪日旅行者の実態調査」2014年、リクルートライフスタイル調べ。以下同)。一方で滞在中に困った・驚いた経験に対する問いには「英語が話せる人が少ない」が1位となり、そのほか「言葉(自国語)が通じない」「飲食店のメニューが読めない」「食べ物に何が含まれているかわからなかった」など言語に関することが上位15項目に多くランクインした。2020年には東京五輪が控え、今後も訪日観光客は増加が予想される。そこで、外食時における外国人受け入れ態勢の整備を目指したのが本事業である。

飲食店の多言語メニューの作成を支援

 東京都では2009年より、多言語メニュー作成支援などを行うウェブサイトを開設してきた。それを今回、より使いやすく、飲食店・外国人旅行客それぞれにアプローチするウェブサイトとして構築し直し、2015年1月20日より「EAT東京」の運用を開始した。旧ウェブサイトからの改善点としては、レイアウトのわかりやすさ、メニュー作成の操作性の向上に加え、対応言語を6種類から12種類へ倍増。料理名など翻訳用語は1言語あたり6000語程度用意した。サイト構築にあたっては、外国人に対する調査をふまえて語彙を選定したうえで、各言語の翻訳担当者と翻訳校正者、全体統括者の26名体制をとって翻訳品質の向上に努めた。
 また、アレルギー・宗教などに配慮して使用食材を示すためのピクトグラムもオリジナルで制作。こちらも外国人に対する調査を反映して食材項目を選定し、さらに制作したピクトグラムが外国人に正しく認識されるかを検証・改善したうえで全35種類を完成させた。

飲食店検索サイトで外国人へ情報発信

 「EAT 東京」で作成したメニューは印刷して各店で利用できる他、同ウェブサイトで外国人へ向けて無料で情報発信することも可能。飲食店情報はメニュー作成時と同じ12種類の言語で表示でき、料理カテゴリーや店舗の立地から検索できる。店舗情報とメニュー表、スマホにも対応したマップが閲覧可能で、実際に店舗へ訪れるまで活用できる仕組み。その他に人気がある日本食の解説、来店時に戸惑いがちな回転寿司店と食券制ラーメン店の利用方法も掲載し、飲食店利用前に外国人旅行客が不安を解消できるコンテンツも用意した。

「ホットペッパー グルメ」などの
基盤を活用しウェブサイトの普及促進へ

 こうしたウェブサイトは実際に利用されてこそ意味がある。「EAT東京」は都内の飲食店であれば無料で利用することが可能。これはインバウンド対策へ投資することが難しい中小規模の飲食店の参画を増やす面において重要だ。また「EAT 東京」リリースと同時に、都内自治体や観光協会を通じて地域の飲食店へ周知するとともに、飲食店情報・クーポンサイト「ホットペッパー グルメ」の参画店舗に対して普及活動も実施。翻訳支援サイトの周知および、メニュー作成研修を含んだインバウンド対策セミナーへの参加を呼び掛けた。
 インバウンド対策セミナーは2月~3月にかけ、中国人富裕層向け対策、ムスリム対応など5テーマ全10回開催。セミナー開催に続き、現在は参画店舗情報を掲載したエリア別のパンフレットを制作中である。パンフレットは都内各地の観光案内所の他、宿泊施設に設置。宿泊施設への協力は「じゃらん」取引先に依頼することで確保し、外国人旅行客への情報発信に努めていく。

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