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加賀市 地域振興部 観光交流課 首都圏戦略室

加賀市観光戦略プラン

北陸新幹線開業の好機を逃さず、
誘客最大化を図る観光戦略プランを策定

持続的な入込客数の増大を目指し
誘客強化と魅力向上の両面に注力

 2015年3月に北陸新幹線の長野~金沢区間が開業し、東京~金沢間が乗り換えなしの約2時間30分に短縮。石川県では開業年の目標として「首都圏誘客500万人構想」を掲げている。金沢駅経由での来訪者が多い加賀市においても、観光客増加が見込まれる。このチャンスを逃さず活用し、さらに一過性の「新幹線特需」としないため加賀市と協働し観光戦略プランを策定した。2014年10月~2018年3月にかけ計画に基づいて誘客の強化・受け入れ態勢の整備を図り、持続的な観光客の増大を狙う。

毎年の目標値と迅速な対策体制で目標達成へ

 観光戦略プランの策定に先立ち、加賀市ではマーケティング調査を行っている。位置情報を活用した「加賀市観光動態調査」によると、加賀市の来訪目的の中心は温泉(宿泊)。市内滞在時間は宿のチェックイン~チェックアウト時間帯とほぼ同じであり、市内周遊はおろか温泉地内の街歩きも行われていない可能性があることなどが浮き彫りになった。この調査結果をふまえ、まずは観光課題を「温泉地のさらなる魅力向上」「若い女性を意識したイメージづくり」「市内滞在時間の増大を目指した観光コンテンツの磨き上げと市内交通網の見直し」「金沢市との連携強化・同市からの交通網見直し」「首都圏および北陸新幹線沿線地域からの誘客強化」の5項目とした。そして、この課題解決へ向けた観光戦略プランが、右ページ図の4戦略・15施策である。各施策を確実に実行するため、今後は31の事業を段階的に展開していく。

 本プランは目標達成を重視し、2018年度まで観光入込客数および観光消費額の目標値を1年単位で掲げた点が特徴だ。しかし日々環境が変化する観光市場に即した対策が打てなければ、目標実現はままならない。そこで設定したのが戦略4「実態把握と改善」だ。具体的には独自の観光客位置情報調査や、観光事業者に対する1カ月ごとのヒアリング調査などを通じて現状の把握・分析を行い、戦略の検証や改善ができる体制を構築する。これにより、目標達成に向け的確かつ迅速な対策が可能となる。

 また、誘客に向けて注力する分野についても1年ごとに設定。初年の2015年は新幹線開業に牽引されて増加が見込まれる首都圏からの誘客を確保すること、2年目は首都圏からの入込客数を前年水準に維持することやインバウンド観光の推進、3年目は2年間の戦略遂行による加賀市の魅力向上を背景とした誘客強化などである。

「加賀ていねい」を市民にも浸透させ
加賀市一丸となった計画推進を目指す

 誘客促進においては情報発信も重要である。加賀市は山中・山代・片山津と3つの魅力ある温泉地を抱えているが、これまで3地域で統一した観光コンセプトはなく、イメージが伝わりにくい状況と言えた。今後は観光戦略計画のコンセプト「加賀ていねい」に基づき、プロモーションを展開していく。すでに「加賀ていねい」をキャッチコピーとしたポスターや映像を制作し、キャンペーンサイトで公開した他、首都圏のJR駅では1月にデジタルサイネージによるプロモーションを行った。

 「加賀ていねい」というコンセプトは、九谷焼や山中漆器、温泉といった伝統文化を大切に守り継ぐ精神が根付いた、加賀市民の「ていねいな心配り」を表したもの。プロモーションの統一スローガンとして発信し続け、「加賀ていねい」な食や体験が楽しめる観光地としての周知に努める。これは観光客のみならず、加賀市民へのメッセージでもある。「加賀ていねい」を通じて加賀の魅力を再認識してもらえれば、市民が本来持つ心配りの精神はより磨かれていく。そうして市民を巻き込んでこそ「加賀ていねい」を具現化したサービス・商品が生み出され、本事業の掲げる目標が現実へとなりうるのである。

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