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長野県北信地域

市町村の枠組みを超えた広域連携を推進するには?

北陸新幹線飯山駅開業に向けた
広域観光推進の取り組みを協同

北信地域6市町村(中野市、飯山市、山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、栄村)では北信エリアの広域観光推進に向けた取り組みを進めている。今回はJRCが持つ宿泊調査データおよび北信エリアの視察を活用し、広域的な観光エリアのブランド化を図った。

視察で得た感触を踏まえて各地域で伸ばしたい魅力、改善したい点を助言。当事者では見過ごしがちな価値の発見につながった

新幹線駅開業を機とした、北信エリア広域観光の推進

2014年度末に予定されている北陸新幹線飯山駅の開業効果を北信エリア全体の振興に結びつけるには、飯山駅を拠点に周辺地域を訪れてもらうような広域的な観光対策が不可欠である。その土台形成として、2011年8月には最新の観光宿泊動向とユーザー視点の観光マーケティングに関する講演会を開催。北信エリアの行政関係者・観光関係者などに対し、地域連携と旅行商品開発の重要性を説いた。

関係6市町村を視察、観光資源の整理と助言を実施

9月〜11月には野沢温泉村、木島平村、山ノ内町、飯山市、栄村、中野市を旅行者視点から視察し、各エリアの潜在的な観光資源の見直しを行った。視察に続いて1月には報告会を開催。「じゃらん宿泊旅行調査2011」から見える旅行者ニーズと複合的に考察し、各エリアおよび地域の枠組みを超えた広域的な着地型旅行商品の方向性、滞在モデルプランを提案した。「視察を通して得たサジェスチョンを、今後の取り組みに活かしたい」(長野県北信地方事務所商工観光課・角張友幸氏)

視察での「気付き」を活かして、6市町村が足並み揃えて広域観光の推進へ

現在、高崎~長野間で営業運転中の北陸新幹線 だが、2014年度末には長野~金沢間の開業が見込まれている。長野駅の隣には飯山駅が完成予定。新幹線駅が誕生すれば飯山を中心に大幅な集客アップが期待できると同時に、手をこまねいていては単に通過駅となってしまう危険性もある。この一大チャンスを逃すまいと、飯山駅周辺の6市町村では北信地域の広域的な観光推進の取り組みを進めている。 北信州は志賀高原を中心とした高原と千曲川河畔に広がる里山に恵まれた地域。湯田中渋温泉郷や野沢温泉などの大温泉街から秘境の温泉までが点在し、緩やかな時の流れと豊かな自然を実感できる。そうした「北信州エリア」という観光エリアを旅行者に認識してもらうためには、まず市町村の枠組みを超えた地域連携が必要だ。JRCが行った8月の講演会には該当地域の行政・観光関係者が出席し、地域連携に向けた意識を育む機会となった。また旅の目的が多様化した最近の旅行者動向にもふれ、ユーザーの意見を取り入れて観光資源を適切に組み合わせた観光商品開発が求められる点も指摘した。 講演会を受けて9月からは6市町村の視察を順次開始した。JRCでは全国の観光地を見てきた経験を活かして「旅行者視点」から各地域の観光資源を探っていった。北信州エリアには多様な自然景観が残され、地域の人々のホスピタリティーが高いといったエリアの強みを確認することができた。 視察を踏まえた北信州エリアのブランド化の方向性は、1月の報告会で共有。旅行者のニーズを探る「じゃらん宿泊旅行調査2011」のデータも参考にファミリー層、シニア層それぞれに向けた北信州観光モデルコースを提案して、本視察の締めくくりとした。「視察時は各市町村の自然や観光施設を周ってありのままの姿を見てもらったのですが、JRCの視察者の目を通すことでさまざまな気付きがありました。地元では珍しくない山ノ内町や栄村の郷土料理『早そば』も県外の人には興味深く思える点ですとか、単体では目的地にはなりえない観光資源でもモデルコースとして提案すると十分な売りになる点など、多くの収穫がありました。あくまでも今回は北信州エリアのブランド化へ向けた第一歩。今後の取り組みに活かしたいです」(長野県北信地方事務所・角張友幸氏)

視察後の報告会、および報告書では、「じゃらん宿泊旅行調査」の長野県データ分析結果とともに、6市町村・観光資源視察を通して、視察者の目からの気づき、北信らしさを訴求できるコース例を紹介した

【取り組んだ地域の方々】

長野県北信地方事務所商工観光課/飯山市/木島平村/栄村/中野市/野沢温泉村/山ノ内町 ほか

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