九州観光支援旅行券「九州ふっこう割」事業

一般社団法人九州観光推進機構

熊本地震により減少した観光客を取り戻すべく九州各県と手を組み、クーポン付き旅行商品を販売

ふるさと割クーポンの手法を活かし
地震災害で打撃を受けた観光地の復興を

 2016年4月14日に熊本県でマグニチュード(M)6.5の地震が発生、16日にはM7.3・最大震度7を観測。大分県でも16日に最大震度6弱を観測するなど、熊本県から大分県にかけて地震が相次いだ(平成28年熊本地震)。GW直前という時期もあり、九州全県の観光業界は大きな打撃をこうむった。5月のじゃらんnetの人泊数は前年比で熊本県が約7割減、大分県と九州全体では約3割減という状況に。早急に手を打たなければ風評被害が拡大してしまう。そこで九州観光推進機構、運輸局、各県が協議の結果、2015年度に実施した「ふるさと割クーポン」の手法を活用する方針を決定。宿泊旅行商品の費用を助成する「九州ふっこう割」事業をスタートさせた。

わずか1カ月半の短期間にクーポンの配布や
プロモーション体制を構築して販売スタートへ

 本事業が始動したのは5月中旬。そして夏休み前には観光客を取り戻せるように、「九州ふっこう割」のクーポン付き旅行商品の販売開始は7月1日に設定された。1カ月半弱の期間で、九州各地の関係組織や宿泊施設との調整、ウェブサイトを経由したクーポン配布システムの構築、クーポンキャンペーン周知に向けた情報発信などの体制を整える必要に迫られた。ここで活かされたのが前年度に実施した「ふるさと割クーポン」事業の経験値だ。JRCでは全国49の自治体より受託し、じゃらんnetを通じてふるさと割クーポン付き旅行商品の販売体制を構築した実績がある。そしてふるさと割と本事業の基本的な枠組みは同様であるため、スピーディーに運営体制構築に向けて動くことができたのである。

 また本事業では交付金を無駄にすることなく復興策に活用されるよう、販売を請け負ったクーポンは売り切ることが求められた。しかしJRCでは経験に裏付けされた販売見通しを立てることができたため、本事業に参画した全13社のオンライン旅行会社のうち、最多額となるクーポン原資額を受託することができた。

 クーポン付き旅行商品の販売は、九州全県で約2800軒の宿泊施設が参画しているじゃらんnetを活用。同サイト内に「九州ふっこう割」キャンペーンの特設ページを開設してクーポンの利用方法を紹介したほか、九州の観光情報も掲載。九州の魅力発信による消費者の興味喚起から、クーポンの周知・宿泊予約販売まで、ひと続きで行える導線に配慮してサイトを構築した。また本事業に合わせ、着地型体験プランを販売するじゃらんnet内「遊び・体験予約」でもクーポンキャンペーンを実施。現地消費拡大に向け、九州内の掲載施設で使える割引クーポンを配布した。

 プロモーションにあたってはじゃらんnet以外にもリクルートの各種媒体にて展開。「じゃらん」本誌および約100万ダウンロードの実績があるスマートフォンアプリ「週刊じゃらん」、じゃらんnet会員へ向けたメルマガにて、クーポンキャンペーンの周知に務めた。

約6カ月間でクーポン利用約26.7万人泊を創出。
風評被害からの復興に有効策であると証明

 こうした取り組みの結果、クーポンを配布した7月~12月に九州全体で計約26.7万人泊・約78.8億円の宿泊予約額を創出することができた。そして地震後に人泊数が大幅に減った熊本県は前年比9割強まで回復、大分県は前年を上回る人泊数を実現した。また、本事業の終了後は「九州ありがとうキャンペーン」を実施し、さらなる九州復興に向けて取り組んだ。

 一定の成果を得た今回の経験は、今後の自然災害発生時の観光地復興策に活かしていきたい。

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